意見陳述(最終期日) 原告代理人:久保井弁護士

意見陳述  原告代理人弁護士  久保井    摂

 私が弁護士としてこの裁判に関わったのは、提訴から半年を過ぎた昨年2月、「つくしの里」での山下さん聞き取りからです。
さかのぼる形で第一次原告の平島さんに出会い、続いて第3次原告の敷島さん親子と出会いました。

 恥ずかしながら、これが私にとって初めてまともに向き合う障害者問題でした。
この1年あまりの間、特に後半は法廃止、そして国との基本合意へと激動する情勢に戸惑う3人と一緒に悩む中で、実にたくさんのことに気づかされてきました。

 この1月には、弁護団の多くが、敷島祐篤君の通う「工房まる」で1日ボランティアを体験しました。
光あふれる作業所の中、ゆったりと自分のペースで創作に取り組む利用者たち、自然体で彼らに寄り添う職員の姿。




そこでは誰もが当たり前の存在として、それぞれが自分らしく過ごしていました。
あの、「工房まる」が送り出す、私たちの心をとらえて放さない数々のアートは、こうして生み出されるのだ。一人ひとりが秘めている無限の可能性を引き出す「場」がこれらの施設なのだ。
そんなことにも初めて気づきました。

 自立支援法は、障害のある人たちにとってかけがえのないこのような場を、いくつも閉鎖に追い込みました。それによってどれだけの仲間が窮地に追い込まれたのか、声を出すことができず、私たちが知り得ていない当事者がどれほどいるのか。

 法廃止と当面の措置が決まっただけでは、自立支援法によって生じた数々の空隙や傷は埋めることができません。

 国は、今回の基本合意において、今後は障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできる施策をつくりあげるために最善を尽くすと約束しました。
しかし、それは、当事者一人ひとりの声を真摯に拾い上げてこそ、はじめて実現できるものであるはずです。

 山下さんが今日はじめて言葉にしたお母さんへの思い、敷島篤子さんの「ひとりぼっちにしないで」という痛切な叫び、いち早く原告に立ち、声を上げることで多くの人とつながってきた平島さんの仲間みんなの幸せを願う心。
 国には、今後基本合意に基づく定期協議の場で改めて当事者の声に耳を傾けること、とりわけ実際に現場に足を運ぶこと、そして真に当事者の立場に立った施策を実現することを求めます。

 かつての私のように未だ多くの人が障害者問題を他人事として無関心でいます。それゆえに自立支援法という悪法が成立してしまったことを私たちは決して忘れてはなりません。
しかし、数々の障害を乗り越え、全国14地裁で71名の原告が立ち上がり、訴えた強い思いは、予想以上に多くの人を突き動かし、共感する者を増やし、新たなつながりを育てています。この歩みを持続させ、新法へ、そしていかなる差別もない社会の実現につなげるため、ここに集ったみんなが、深く関わり続けることを確信して、私の意見陳述を終えます。
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by ymce | 2010-04-19 10:08 | 意見陳述関連
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